「ニュースはネットから」が新聞を追い越す

米国では新聞の衰退が連日のように指摘されるこのごろだが、ついに「インターネットに凌駕される」という調査結果が発表された。米世論調査会社大手ピュー・リサーチ・センターがこのほど明らかにしたところによると、昨年12月、「国内および海外ニュースはインターネットでチェックする」と答えた市民が全体の40%に達し、「新聞で」と答えた人(35%)を追い抜いた。この結果、インターネットが米市民のニュース情報源としてテレビに次ぐ2番目の媒体となった。同調者会社によると、インターネットが新聞を上回ったのは初めてのこと。2007年9月にインターネットを挙げた人は24%と、新聞34%に次ぐ第3位だったが、1年余りで2位に躍り出たことになる。

ちなみに、「ニュースはテレビで見る」と答えた人は全体の70%を占め断トツ。インターネットと新聞の後には、ラジオ18%、雑誌5%などと続いている。30歳以下の若者では、テレビとインターネットを挙げる人が圧倒的な割合を占めており、活字媒体以外でニュースをゲットする傾向が著しくなっている。

ところで、米調査会社eMarketerによれば、2008年の新聞広告出稿額は379億㌦(約3兆4110億円)と前年比16.4%の減少となった。下降現象に楔がかかる兆しはなく、同社では2012年までに284億㌦(約2兆5560億円)に落ち込むと見ている。同社の上級アナリスト、キャロル・ロール氏は、「深まる景気後退の中で米メディアの売り上げは一様に落ち込むが、得に新聞が悲惨だ」と、指摘している。同氏によると、以前は新聞業界の収入源の防波堤的な役割を担っていた案内広告の売り上げが、クレイグリストなどインターネット上のサイトの進出で、ほとんど頼りにならなくなったことも大打撃となっている。

新聞社は購読者と広告社両者の要望に応え、電子版の充実に努めてきたが、ネット広告収入も減少気味。今年は昨年比4.7%減少の30億㌦(約2700億円)に留まる見込みで、八方塞がり状態(ロール氏)といったところ。