ニュース番組の存続に黄色信号


「視聴者の裁断が下された。我々は娯楽番組に特化していくことになる」 ペンシルベニア州北東部のテレビ局「WYOU-TV」の所有会社の最高執行責任者(COO)デニス・サッチャー氏が、同局のニュース番組廃止決定に際し発表したコメントだ。全米第54位にランクされているテレビ市場に位置する同局は創立56年のCBSネットワーク系列局。同局ではこれまで、月~金曜日の正午、午後4、6、7、11時にそれぞれ30分間のローカルニュース番組を放送してきた。しかし、視聴率は下降線を辿りっぱなし。最近では、それぞれの番組が1%台と低迷したままだった。6時台の番組にインターネットを活用した視聴者参加型の番組づくりを試みるなど、様々な手立てがほどこされたが、「他局のニュース番組には太刀打ちできないことが明確になった」(サッチャー氏)。


テレビやラジオのニュース・ディレクターなどが加入する全国組織「RTNDA」によれば、ローカル局にとってニュース番組は売り上げの約45%(2007年度)を占める重要な番組。赤字経営に陥っていないローカル局(WYOU-TV)がニュース番組を廃止するのは極めて異例だという。ちなみに、WYOUが昼帯やプライムタイム、さらには深夜に放送する非報道番組は好調だ。

問題は、ローカルニュース番組が供給過多になっていること。同時間帯に、ニュース番組を編成する地方局が全米でも大半だ。業界誌ブロードキャスティング&ケーブルによれば、「向う1年間に、WYOU同様な決断に迫れる地方局が多く現れる可能性が少なくない」。全廃ではないが、すでに首都ワシントンのWUSA-TVが今年1月から週末のニュース番組を終了したほか、フロリダ州タンパ市のローカル局WFLA-TVが連日午前11時に放送しているニュース番組を、5月から廃止するなど、ニュース番組の削減が始まっている。