ニールセン、オンライン・ビデオ視聴率測定へ


米国の視聴率測定市場を独占するニールセン社が、インターネット上で配信される番組の視聴率測定に本格的に取り組むことになった。ニールセンによれば、12月中にも、テレビ視聴率を測定している同社のサンプル世帯から7500世帯を選び、「インターネット・メーター」の取り付け作業を開始する。2010年8月までにはテレビ視聴率にネット視聴率を加えた、包括的な視聴率のデータを提供したい考えだ。


米国ではネットワークテレビが、ドラマなどの人気番組を、放送翌日にはインターネット上に無料配信することが当たり前のことになっており、こうした番組を一括配信する独立系サイト「Hulu(フールー)」などの人気が急上昇中している。


番組をテレビ以外で視聴する人の数がうなぎのぼりとなっている現状を踏まえ、ネットワークテレビや広告業界から、インターネット上の番組視聴率の測定を急ぐ声が高まっていたが、今回のニールセンの発表はこれに応えたもの。今年9月に、米メディア企業や大手代理店など14社が、ケーブルテレビ(CATV)加入世帯などに設置されているセット・トップ・ボックス(STB)やHDD内蔵型のデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)の視聴状況測定などの分析を目的とした、組織「Coalition for Innovative Media Measurement(CIMM)」を共同で設立することを発表したことも新サービス立ち上げを促す圧力となっていた。CIMMでは、インターネットで配信される番組の視聴状況の測定にも乗り出すことを明言している。


米テレビ界の広告売上が700億㌦規模なのに対し、ネット上の番組広告売上は10億㌦ほどに留まっているが、若者を中心としたテレビ離れに頭を抱えているネットワークテレビや広告業界にとって、インターネット上の番組配信の重要性が急速に高まっている。