ネットの中立性に反対でFCCを提訴


 米通信大手ベライゾンはこのほど、米連邦通信委員会(FCC)が昨年暮れ決定した 「ネットの中立性」の規則は違法と主張、FCCを相手取って連邦控訴裁判所に提訴すると発表した。オバマ政権が目指す、自由で開かれたインターネット利用 を促すとされるネットの中立性とは、通信会社やケーブルテレビ事業者などが提供するインターネット・サービスが、特定のコンテンツやサービスを遮断したり 差別することを禁じるもの。FCCは、開かれたネットは、経済の活性化や雇用の促進に役立つと主張している。 


グーグルやマイクロソフト、さらにはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)最大手フェースブック、そして消費者団体などはネットの中立性を支 持している。その一方で、ベライゾンやAT&Tなど通信大手は、これらIT企業の“ただ乗り状態”を指摘、「通信速度を遅らせたり、ネット上の交 通渋滞の原因となる大容量サービスは、通常のネット利用者の障害になっている」などと、真っ向から反論。特にグーグルの動画サイト「ユーチューブ」や、 ネット電話を無料で提供するスカイプ(Skype)やボネージ(Vonage)には何らかの制限や課金する権限が与えるべきだと主張している。


ネットの中立性に関しては、連邦控訴裁が昨年4月、米ケーブルテレビ(CATV)事業者コムキャストが大容量ファイル・共用サイト 「BitTorrent(ビット・トレント」を遮断したのは違法だとし解除を命じたFCCの行為は、自らの権限を逸脱しているとする判断を下している。ベ ライゾンが訴えたのは同じ連邦控訴裁。昨年の中間選挙の結果、FCCの規制には反対の立場を明確にしている共和党が下院議会で過半数を奪回したことにも勇 気づけられている模様。今後もネットの中立性をめぐり、賛成・反対派の間で強烈な綱引きが展開しそうな気配だ。


なお、携帯電話など無線通信については、固定通信に比べ通信速度が遅いこともあり、ネットの中立性は適応されない見通し。