ネットワークTVの視聴者数が10年ぶりに増加


9月20日から始まった米テレビ新シーズンで様々な話題を振りまいているネットワークテレビだが(10月1日既報)、4大ネットワーク合計の年間視聴者数が久方ぶりに前年度を上回ったことが明になった。米視聴率調査会社「ニールセン」によれば、9月19日までの1年間の4大ネットワーク(ABC、CBS、Fox、NBC)のプライムタイム(午後8~11時)の平均視聴世帯数は2220万軒と前年度を1%上回る結果となった。前年度を上回ったのは2000-01年以来実に10年ぶりのことだ。各ネットワークが積極的に編成した新番組が成功したほか、2月に開催されたバンクーバ冬季五輪放送が貢献した模様だ。一方、ケーブル局のプライムタイム合計視聴世帯数は4150万人と、前年度比1%減少に終わった。視聴者数が前年度比減少となったのは、こちらも10年ぶりのことだ。特にCNN、MSNBCやFoxニュース・チャンネルなどのニュース専門局の視聴者数低下が影響した。


ネットワークテレビ好調の背景には、今年のエミー賞コメディー部門の最優秀賞を獲得したコメディー番組「モダン・ファミリー」(ABC)(写真)など本格的なシリーズ番組が人気を博していることがある。米広告会社ホライゾン・メディアの調査部門で上級副社長を務めるブラッド・アドゲイト氏は、「ネットワークテレビ編成は平均点を大きく上回るもの。多くの視聴者をひきつけた」と述べている。


新番組のヒットに加え、HD(高精細度)テレビ番組の普及やDVR(HDD内蔵型デジタル録画機)の普及もネットワーテレビ視聴の増加に寄与したようだ。ニールセンによれば米テレビ世帯におけるHDテレビ普及率は54%に達し、スーパーボウルや大リーグプレーオフ戦などのHD番組が視聴者から幅広い支持を集めた。またDVR視聴(同普及率37%)によってネットワークテレビ番組の視聴者数が20%超割増しされたという。


しかし、ケーブル局側からは、「ニュース専門局を除けば、ケーブル局全体の視聴者数は前年度比2%増だった。つまり、エンターテイメント番組のみで考えれば相変わらずケーブル局の優勢に変わりは無い」(ターナー・ブロードキャスティング調査部門責任者ジャック・ワックシュラグ氏)などと反論が出ている。