ネットワークニュース存続に黄色信号

米3大ネットワークテレビ(ABC、CBS、NBC)が毎晩夕方6時半から全国向けに放送するニュース番組が不振に陥っている。「イブニング・ニュース」と呼ばれるこれらの番組は各局が威信をかけた看板番組。この番組のメイン・キャスターは、「アンカー」と呼ばれ市民から絶大な信望を集めるポストでもある。

CBSのアンカー、ケイティー・クォーリック氏は、単独では米ネットワークテレビ史上初めての女性アンカーとして2006年9月に登場。万年最下位に悩んでいた「CBSイブニング・ニュース」の救世主として期待が寄せられた。ところが、視聴率は上昇するどころか、最低記録を塗り替えるなど不振が続いている。年俸が推定1,500万㌦(約15億6000万円)と破格なこともあって風当たりも強く、視聴率発表があるたびに更迭話しが出るほどだ。ちなみに、4月最終週の平均視聴者数は534万人。NBCの802万人、ABCの779万人に大きく水を開けられたままだ。

ところが、不振はCBSニュースだけに留まらないようだ。ジャーナリズム調査団体「PEJ」が集積したデータを元に、ニールセン社が分析した調査によると、3大ネットワークが昨年失った視聴者数は120万人と危険水域に到達しつつあるという。平均視聴者年齢も60歳と、米広告主がターゲットにしている18~49歳から大きく逸脱している。広告収入も下降線を辿っており、2005年には3大ネット合わせて5億3,830万㌦(約554億円)あった広告収入が、昨年は5億28万㌦(約518億円)に減少してしまった。このような傾向を受け、このままでは長年に渡り米国のオピニオン・リーダーだったネットワーク・イブニング・ニュースの「存続すら危うくなってきた」(アドバタイジン・エイジ誌)という声も上がっている。