ネット広告をリードするオンライン・ビデオCM


 米国で売上拡大を続けるインターネット広告の中で動画に挿入するCM人気が急増中であることが明らかになった。米オンライン・ビデオ広告代理店「BrightRoll(ブライト・ロール)」がこのほど発表した調査結果によれば、オンライン・ビデオCMを採用したいと答えた広告主が他インターネット広告と答えた社を25%も上回った。同社の最高経営責任者(CEO)トッド・セイサドティ氏は、「オンライン・ビデオCMにはテレビCMや新聞広告では得られない効果がある。それは、双方向性、目標の絞込み(ターゲティング)、(ターゲットに到達したかどうかの)検証報告が可能なことだ」と同広告方法の効能を強調している。


同調査結果によれば、オンライン・ビデオCMの中で、広告主から最も効果的と人気なのが、番組冒頭に挿入されるCM。同CMに対しては、広告主の94%から「予想以上の広告効果が上がっている」との回答が寄せられているという。また、32%が特定の消費者に絞り込んだ広告を可能にする、ターゲティングCMのメリットを挙げている。中にはスポンサーしたいが枠が少なく購入できないのが悩みだ(29%)、などとする声もあり、オンライン・ビデオCM人気を浮き彫りにしている。


一方、インターネット広告売上全体も好調に推移している模様だ。米インターネット広告協会(IAB)によれば、今年7~9月期における米国内のネット広告費は前年同期比17%増となる64億㌦に達し、四半期ベースでは過去最高額を記録した。広告業界誌アドバタイジング・エイジは、「広告不況で散々だった昨年から見事にカムバック。すでに今年は4~6月期に上昇気流に乗っているが、絶好調だった今期を受けて、(クリスマス商戦を含む)10~12月期にさらなる売上を得ることは間違いない情勢だ」と、見込んでいる。


米コンサルティング大手プライスウォーター・クーパースのパートナー、ディビッド・シルバーマン氏は、「消費者の関心が既存メディアからインターネットにシフトしていること、困難な経済状況が続いていることなどを反映し、これからも広告主がインターネットを重視する傾向は拡大する」との見方を示している。