ネット派がテレビ派を超過


 「テレビかインターネット、どちらか一方を選択するとしたら、どちらをとりますか?」 こんな質問に、米市民の49%が「インターネット」と答え、「テレビ」と答えた48%を上回った。米調査会社「Arbitron(アービトロン)」と「エジソン・メディア・リサーチ」による共同調査の結果だ。全米の12歳以上の市民1753人が対象になった。わずかな差ながらも、ネット支持派がテレビ派を越えたのははじめてのことだという。同調査によると、テレビからネットへのシフトは、特に12~44歳の若者層に集中している。


両社が同様の調査を実施したのは2001年のことだが、その時は、72%の人が、「インターネットが無くてもかまわない」と答えた一方、「テレビがなくてもいい」と答えた人は26%に留まり、圧倒的にテレビ派が占めていた。「米消費者にとって、インターネットがすべてのメディアの中で最も欠かせないものになった」ことについて、エジソンのラリー・ロージン社長は、「変化は、過去9年にわたり、堅調かつ広範囲にわたって進んでいた」と分析してる。また、同社のトム・ウェブスター副社長は、変貌ぶりについて、「インターネット上で視聴できないテレビ番組はほとんど無い現状が大きくものをいっている」と指摘している。

 
実は、テレビからネットへのシフトは、CATVなどが提供する番組送信サービスからの離反とも言えそうだ。ペンシルベニア州のピッツバーグは全米で最もテレビ視聴者数の多い地区の一つだが、同市に住む48歳の女性は、ケーブルテレビ(CATV)が提供するテレビ再送信サービス契約を解約、いまではテレビ番組は無料動画配信サービス「Hulu(フールー)」などを利用し、パソコンん上で視聴しているという。つまり、テレビを見なくなったのではなく、視聴方法に変化が起きているのだ。ニュージャージー州に住むある男性も、CATVのテレビ・サービスを止め、携帯電話とブロードバンド(高速大容量)通信サービスのみに契約を変更したおかげで毎月100㌦の節約となったことを強調する”ネット派“だ。


ちなみに、ニールセン社の調査では、09年10-12月期における米市民のテレビ視聴時間は1週間当り35時間、ネット上の動画視聴は22分、携帯電話を使った動画視聴時間は4分、インターネット利用時間は4時間と、いまだにテレビ視聴時間が他を圧倒しているという結果も出ている。