バイアコムがグーグルを著作権侵害で控訴


 米メディア企業大手バイアコムは12月上旬、米動画投稿サイト最大手「ユーチューブ」とその親会社グーグルを相手取って連邦控訴裁判所に控訴した。バイアコムは2007年に、ユーチューブ/グーグルが同社傘下の人気ケーブル局「MTV」や「コメディー・セントラル」などの人気番組の一部を無許可で抜粋・掲載したことは著作権侵害に当たるとして連邦地裁に訴訟を起こしたが、今年6月、その訴えが却下されていた。それを不服とした控訴だが、バイアコムはレーガン政権時の司法次官補だったセオドア・オルソン氏を顧問に雇い、徹底的に争う構えだ。


バイアコムは当時、無許可で掲載されたビデオ・クリップは10万件にのぼり、損害賠償額は10億㌦以上に上ると主張した。しかし、連邦地裁は、「1998年に制定されたDMCA(デジタル・ミレニアム・コピー・ライト)法に基づいて、違法と分かったビデオ・クリップは速やかに同サイトから削除していた」とするユーチューブ側の主張を認めバイアコムの訴えを退けていた。


オルソン氏は、ウォールストリート・ジャーナルの取材に対し、「悪しき前例をつくることは(メディア業界にとって)極めて有害となる」とした上で、「ユーチューブが『ザ・デイリー・ショー』など人気ケーブル局番組を違法と知りながら故意に掲載させたことは、他人の著作権を侵害し私欲を肥やすという計算ずくめの行為に相当する」とするバイアコムの主張を改めて主張した。


グーグル広報は、「すでに連邦裁判所が判断を下したことに対しバイアコムが同ケースを長引かせようとするもので、遺憾に思う」との声明を発表。米法曹界の中にも、「バイアコムがグーグルの商行為を訴えたのは2007年のこと。その後、グーグルは、番組提供者が認証していないコンテンツが掲載された場合、自動的に察知し削除するシステムを導入している。同ケースはすでに重要性を失っている」などと指摘する向きもある。バイアコムは「グーグルの2008年以降の商行為は訴訟の対象にはなっていない」としている。