バイアコムが新有料チャンネル創設


米国には「HBO」や「ショータイム」など地上波ネットワークの番組編成にも大きな影響を与える有料チャンネルがあるが、映画を主体にした新チャンネルが参入することになった。米メディア大手バイアコムがハリウッド大手「パラマウント映画社」「MGM映画」「ライオンズゲート」など5社と提携して創設する。新チャンネルの開設は来秋を目標にしているが、同チャンネルでは5社が制作した映画はもとより、テレビ番組も放送される。AP通信によれば有料チャンネルに合わせ、VOD(ビデオ・オン・ディマンド)サービスも立ち上がる予定だ。

米テレビ界では、CATVや衛星放送の普及につれ有料チャンネル人気も高まり、タイムワーナー傘下の「HBO」やCBSコーポレーション傘下の「ショータイム」が絶大な人気を博している。特にHBOが制作・放送したマフィア家族を題材にしたドラマ・シリーズ「ソプラノス」やマンハッタンに住む独身女性の自由奔放な生き方を描いた「セックス・アンド・ザ・シティー」などは社会現象になったばかりか、米テレビ界を代表する番組として位置づけられているほどだ。

しかし、今回の発表に対しCATVや衛星放送事業者からの反応は冷ややかなものが多いようだ。有料チャンネル市場が飽和状態なこともあり、「これ以上映画をコンテンツとした有料チャンネルが視聴者に受け入れられる余地があるとは思えない」(CATV 最大手コムキャスト)などと早くも悲観的な意見が飛び出している。

ところで、新チャンネルの創設発表は「ショータイム」を傘下におくCBSコーポレーションにとって侮辱とも言えるもので、業界内が騒然としている。というのも、バイアコムもCBSコーポレーションは2006年初頭に分社化された姉妹会社。「身内がライバル」という構図だが、両社の筆頭株主で両社の会長も務めるサムナー・レッドストーン氏は、「健全な競争が両社の経営に磨きをかけ、生産性の向上に役立つと考えている」と述べている。