フェイスブックで映画レンタル


米メディア・娯楽複合企業大手タイム・ワーナー傘下の映画会社「ワーナー・ブラザーズ(WB)」は38日、会員制交流サイト(ソーシャル・ネットワーキング・サービス:SNS)最大手「フェイスブック」上で映画のレンタル配信を始めたと発表した。WBは同レンタル事業が商業実験であることを強調しているが、反応を見ながら配信作品数を増やして行く模様。ハリウッド大手による交流サイトをつかっての映画配信は初めての試みだ。

 

1弾として、WB2008年に封切られた同社のヒット作「バットマン」シリーズの「ダークナイト」(写真)を配信。「フェイスブック・クレジット」と呼ばれる同サイトの仮想通貨で30クレジット(3㌦相当)を払えば48時間限定で、映画を一時停止したり、何度も視聴できる。ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、フェイスブックは売上の3割を受け取るという。サービスは当面、米国内のみ。

 

米映画会社は、これまでドル箱的存在だった2次利用商品DVDの売上が下降線を辿ったまま。新たな収入減を探っているのが現状で、ネット上の配信サービスに白羽の矢が立ったかたちだ。一方、交流サイト最大手の地位を獲得しているフェイスブックは、動画配信サイトとしても人気急増中。米調査会社「コムスコアー」によれば、20111月における動画ビューアー数は4200万件を記録、人気動画サイト中第6位にランクされている。米有力調査会社「フォレスター・リサーチ」のアナリスト、ジェイムス・マックイベー氏は、「メンバーが四六時中訪れるサイトに映画を提供することで、消費者の反応を直接伺える機会を得ることが出来る」などと、レンタルビデオ店などを跳び越した直接配信のメリットを指摘している。

 

すでに、ビデオレンタル大手「ネットフリックス」、ネット通販大手のアマゾン・ドット・コム、さらにはアップル社などもネットを通じた映画・テレビ番組の配信を始めており、動画のネット配信サービス市場で顧客の激しい争奪合戦が展開しそうだ。