フールーが日本市場進出か


 テレビ番組を中心とした米動画配信サイト「Hulu(フールー)」が日本市場への 進出を狙っているようだ。創設わずか2年あまりでユーチューブに次ぐ圧倒的な人気の動画閲覧サイトに急成長したフールーへのアクセスは、現在米国内のみに 限定されているが、同社の最高経営責任者(CEO)ジェイソン・カイラー氏は、新たな出資者などを募り海外へのサービス拡大を考慮しているという。カイ ラー氏は進出先の具体名などは明らかにしていないが、12月3日付けのウォールストリート・ジャーナル紙は、関係者の話として「狙っているのは日本市場 だ」と伝えている。


フールーは、ウォルト・ディズニー、NBCユニバーサル、ニューズ・コーポレーションといったメディア大手などが共同出資している番組や映画などの動画配 信サイト。ネットワークテレビのプライムタイム番組が放送翌日に、全編しかも無料で視聴できたことから若者などを中心に爆発的な人気を呼んだ。テレビ番組 の再送信サービスにあたるケーブルテレビ(CATV)や衛星放送事業者に、フールー人気がさらに拡大すれば主幹サービスが侵食する恐れがあるとの懸念を抱 かせるまでの存在になっている。


しかし、広告収入に限定した運営が生み出す収益の限界と、ネット上の番組無料配信見直し機運が高まっている番組提供者からの圧力で、フールーは11月中 旬、有料サービス「フールー・プラス」(月額7.99㌦)をスタートさせ、収入拡大を図っている。同社ではプライムタイム番組の翌日配信や過去のエピソー ド閲覧などのほとんどをフールー・プラスに移行させたほか、新たに携帯端末でも視聴が出来るようにした。カイラー氏によれば、同有料サービスへの加入者数 は当初の予想をはるかに超え、好調なスタートを切ったという。ちなみに、無料版も残っているが、視聴できる番組が限定されている。


フールーは、来年早々にも新規株式公開に踏み切るとの観測も飛び交っているが、カイラー氏は、直接的な言及はさけながらも、「幸いにも我々は様々なオプションに恵まれている」と述べている。