ブロードウェイ、暗黒時代に突入か

米ブロードウェイ業界が経済不振に揺れている。舞台内容に高い評価が集まっている「ジプシー」(娘をスターに育て上げようと葛藤するステージ・ママが主役)が当初の予定を7週間前倒しして閉幕を決めたほか、安定した興行成績を示してきた「ヘアスプレー」(1962年のボルチモアを舞台に、テレビの人気ダンスコンテスト出場を夢みる少女を中心に当時の米社会を描いた)、さらには「グリース」(1978年に映画にもなったロックンロール・ミュージカル)など、なんと12の舞台が1月中旬にかけ一斉に閉幕することになった(NYタイムズ紙調べ)。高価なチケットを買い控えするファンが増え興行収入が減少し、舞台運営資金が枯渇し始めているためだ。

最近オープンしたばかりのビリー・エリオット(リトル・ダンサー:邦題)(1984年のイギリス北部の炭鉱の町に生まれた少年が逆境を乗り越えてプロのバレー・ダンサーになっていく過程を描いたもの)や、1958年に映画にもなった「南太平洋」など、客入りが好調な舞台はごく一握り。ロングランを続ける「アベニューQ」の平均空席率が31%などと、ブロードウェイ全体の観客動員数が極端に落ち込んでいるのが現状だ。

新作を立ち上げるための資金難も指摘されている。長年にわたりブロードウェイのプロデュースを手がけてきたエリザベス・マッキャン氏はニューヨー・タイムズ紙に、「これまでブロードウェイを支えてきた出資者の財布の紐が過去に体験したことのないほど固くなっている。資金集めは極めて厳しい状況だ」と語っている。こんな同業界の状況をニューヨークタイムズ紙は、「景気後退の波及効果がブロードウェイを飲み込む勢い。あの手この手のPR作戦もさしたる結果を生み出せず、ブローウェイは暗黒時代に突入するかもしれない」と描写している。