ブロードバンドが高速でなくなる日


インターネット上の番組配信など、米国で人気急上昇中の動画サービスのさらなる普及には、ブロードバンド(高速大容量)通信の普及が欠かせないが、早ければ2010年頃までにブロードバンドのトラフィックが大渋滞に陥る可能性が出てきた。

米調査会社ネマティース・リサーチ社のジョハナ・ジョンソン社長は米紙USAトゥデーに、「ケーブルテレビ(CATV)事業者や電話会社が提供するブロードバンドの利用者は、2010年頃までにネットの速度が目に見えて遅くなることに気づくはずだ。ダイヤルアップ接続を利用しているような錯覚にさえ陥る利用者も現れるかもしれない」と警告している。

CATV事業者(ケーブルインターネット)や電話会社(DSL:デジタル加入者回線)がインフラとして使っているメタル(銅線)回線から光ファイバー回線への転換が急増する需要に追いつかないというのが要因。ネマティース・リサーチ社では、各家庭への回線を光ファイバーに変換するためには、420~550億㌦(約4兆6,200億円~6兆500億円)規模の設備投資が必要となると試算しているが、これはCATV・電話会社の予算を6~7割も上回る額だという。

ブロードバンドの通信機能が大幅に低下すれば、ユーチューブやグーグル、さらにはアマゾンといったオンラインビジネスの行方を左右しかねない大問題として浮上する可能性もある(ネマティース・リサーチ)。

米調査会社レイクマン・リサーチ・グループによると、CATVと電話会社が提供するブロードバンド・サービスに加入している世帯数は6,020万軒。両事業者の市場占有率は94%にも上るという。