プライムタイムにトーク番組登場


米テレビ界は、9月中旬から新シーズンに突入している。その新シーズン、最も脚光を浴びているのがNBCのプライムタイム編成だ。これまで深夜で放送していたトーク番組「ザ・ジェイ・レノー・ショー」を午後10時にベルトで編成したからだ。同番組は9月14日に初回が放送されたが、「深夜で放送していたものとなんら変わりなく新鮮味に欠ける。退屈だった」(USAトゥデー紙)などと辛口の批評もあったものの、「他のコメディアンではまねの出来ない、レノー氏独特の、洗練された皮肉や論争ぶりが健在だった」などと、概ね好調。視聴率もニールセン社の速報によると、広告主が重要視する18~49歳層で5.1%(シェア13%)、世帯視聴者数1770万人を獲得、好スタートを切った。初日以降も好調に推移し、第1週目の平均視聴率は広告主が重要視する18~49歳層で3.4%、平均視聴者数1190万人を獲得、NBCにとって幸先いい成績となった。


業界内にはライバルABCとCBSの本格的なドラマ番組のデビューが同番組の1~2週間後に控えていることもあり、2週目移行の視聴率は下降するとの見方が多い。しかし、広告業界誌「アドバタイジング・ウィーク」は、高額な制作費が求められる大型ドラマのヒット率が20~25%といわれる中、レノー・ショーの制作費が圧倒的に安価なこと、さらにはCM飛ばし視聴の対象になりにくい生番組であることなどをあげ、「視聴率が下がったとしてもリスクが小さい。長続きする番組になるだろう」と予測している。


プライムタイムとは午後8~11時までの3時間。各ネットワークにとって最も重要な時間帯で、1本あたり平均300万㌦(約2億8500万円)の制作費を投入した重厚なドラマやコメディー番組を編成するのが通例。ジェイ・レノー・ショーの制作費は1週間分で200万㌦ほどと、極めて廉価なことがNBCにとって大きな魅力となっている。同番組が成功すれば、他ネットワークが追随する可能性もあり、その成り行きに米メディア業界が固唾を呑んで見守っている。