マイクロソフトとヤフー提携発表の波紋


コンピューター・ソフトウエア最大手の米マイクロソフトと米インターネット検索大手のヤフーはこのほど、ネット検索広告分野などの事業提携で合意したと発表した。契約期間は10年間。2010年上半期までに軌道に乗せたいとしている。マイクロソフトは昨年2月、約446億㌦(約4兆2370億円)でヤフー買収をしかけたが、ヤフーの抵抗に合い断念。今度は両者提携してインターネット検索市場で独走するグーグルに対抗することになる。ただ、同提携には米司法当局の認可が必要。また、この発表を受けて、業界内外から様々な受け止め方が出ている。


米連邦上院の反トラスト、競争政策、消費者権利に関する司法小委員会のコール委員長は、「消費者や広告主にとって、健全な競争が保たれないのではないかと懸念する声が議会から上がっている。情報技術革新に水をさす結果になることを心配する声もある」と述べ、いち早く警戒心を示している。


一方、米西海岸シアトル・タイムズ紙は、「マイクロソフトが提供を始めた新しい検索エンジン「Bing(ビング)」をヤフーが採用することで、ビングの普及が広がり、ヤフーには新検索エンジン開発費の節約など5億㌦(約475億円)程度の増益効果をもたらすことが可能となる」と分析している。


さらに、ニューヨーク・タイムズ紙は、「検索市場におけるグーグルの優位性は変わらないだろう。ただ、マイクロソフトとヤフーの提携で、はじめて強力なグーグルの対抗馬が出現することになる。広告業界では、広告販売市場でも頭角を現してきたグーグルが脅威となってきているが、同業界にとっても吉報となるだろう」と指摘している。