マードック氏、アイパッド向けに電子新聞


 米メディア企業大手「ニューズ・コーポレーション」が新年早々、アップル社製の タブレット型多機能携帯端末「アイパッド」専用のデジタル新聞(電子新聞)を発行することになり話題を呼んでいる。同社を率いるかつての新聞王ルパート・ マードック氏の肝いりで始まるもので、すでに、ニューヨーク市内の同社オフィス内に専任スタッフ100人のチームを編成、3000万㌦の資金を投入し準備 中だ。複数の米メディアによれば、来年初頭を目標に「The Daily(ザ・デイリー)」と名づけられた電子新聞を発行する予定だという。マードック氏は、アイパッド利用者はコンテンツを利用する際に、小額の課金 には抵抗が少ない点に注目した模様だ。


ザ・デイリーは、ニューズ社傘下の新聞、ウォールストリート・ジャーナル紙やニューヨーク・ポスト紙とは内容などもガラッと変わった新しいものになるとい う。編集方針は、中道的なものとなり、保守的な編集方針を構えるニューズ社の中で新しいブランドになると期待が寄せられているという。スポーツ面ではアイ パッドの特性を生かし動画も積極的に取り入れられる模様だ。


購読料は週99㌣(約80円)。週末も含め毎日発行。マードック氏は向こう5年以内に加入者50万人の獲得を目指している。しかし、業界内には「10万人 がいいところ」(ニューヨーク・タイムズ紙)などとマードック氏の見込みに冷ややかな意見もある。また、紙と同様、基本的には毎日一回発行ということで、 インターネット上で常時更新される他ニュース・サイトに太刀打ちできるかどうかなど、同電子新聞のビジネスモデルに疑問符を投げかける向きもあるようだ。


米国では2010年7~9月期における新聞の広告売上が、前年同期比5.4%の落ち込みとなる61億㌦(アメリカ新聞協会:NAA)と落ち込む一方で、新 たな収入減として電子版の有料化の動きが加速している。ニューズ社傘下のウォールストリート・ジャーナル紙や英紙タイムズの電子版が有料化されているが、 ニューヨーク・タイムズ紙が新年早々有料化に踏み切るなど、他紙の間からも追随する動きが出ている。