マードック氏がまたNY紙買収へ

米メディア大手「ニューズ・コーポレーション」のルパート・マードック会長は、ニューヨークの地元紙「ニューズデー」を5億8,000万㌦(約597億円)で買収することで暫定合意に達した。米タイム誌が4月21日ホームページでスクープ報道したもので、その後米報道各社が一斉に報じた。ニューズデーはマンハッタン近郊の住宅地ロングアイランドに本拠地を置く一般紙。同氏が傘下に置くニューヨークのタブロイド紙「ニューヨーク・ポスト」の経営状況が芳しくないことから、両紙の印刷所を統合・スリム化するなど合理化を図り、経営を活性加したい考えだ。

ただ、マードック氏はすでに経済有力紙「ウォールストリート・ジャーナル」を買収済み。もしニューズデー買収が認められることになれば、同氏が全米10大紙のうち3紙のオーナーとなる。また、ニューヨーク地域にテレビ局2局をも所有していることから、一市場で巨大なメディア権力を掌握することにつながる今回の買収は認めるべきではないとする批判が出ている。米連邦上院議会の商務委員会委員長を務めるバイロン・ドーガン議員は、「米市民が見たり聞いたり読んだりできるものを、ほんの一握りのメディア企業がコントロールしてもいいものなのか」とマードック氏の動きに大きな疑問符を投じている。

米国では昨年暮れ、米連邦通信委員会(FCC)が国内の20大市場においては、所有できるメディア会社は新聞1社とテレビ局1社が限度とする新メディア所有ルールを制定したばかり。マードック氏はすでにこの限度を超えているが、インターネットの普及など既存メディアを取り巻く環境が激変しているとして特別免責を求めていくほか、他メディア所有者とスクラムを組み、FCCを相手に表現の自由を保障した憲法第1条を盾に訴訟をおこすことも辞さない構えだ。