ケーブル局のドラマが絶好調


米ネットワーク・テレビは、今夏の視聴者数が昨年比7%も下降するなど不振ぶりが目立っているが、ケーブル局のほうはすこぶる好調だ。毎年夏になると、テレビ視聴人口が減るため、ネットワークは再放送番組や低予算で制作できるリアリティー番組などを編成するのが通例だが、そんなネットワーク編成を嫌って、ここ数年、視聴者がケーブル局に鞍替えする傾向が続いている。しかし、今夏のケーブル局の番組人気は例年を上回るさらなる好調ぶりだ。しかも、HBOなど有料チャンネルではなく、ベーシックチャンネルの番組が元気なのが特徴だ。

ケーブル局の人気を支えているのがオリジナル制作で重厚な1時間ドラマ番組。タイムワーナー傘下のTNTが放送している女性刑事ドラマ『The Closer』やホリー・ハンター主演の警察官ドラマ『Saving Grace』は、いまやケーブル界を代表するヒット作となっているほど。特に『The Closer』は今年でシリーズ第3回目となるが、6月初旬に放送されたシーズン・プレミアは視聴者数881万人を獲得、ベーシックチャンネルで放送されたレギュラー番組としては過去最高を記録した。

TNTの番組ばかりでなく、映画専門チャネルとして知られるAMCネットワークの『Mad Men』(60年代の米広告業界で繰り広げられる人間模様を描くドラマ)、フォックス系のケーブル局FXが放送している『Damages』(グレン・クローズ主演の裁判ドラマ)などと、人気番組は枚挙にいとまが無い状況だ。TNTのスティーブ・クニン社長は、「我々は大きな転機に立っている。ケーブル局がネットワーク・テレビに匹敵する数の人気ドラマを放送できるようになるのは時間の問題だ」とケーブル局の好調ぶりを強調している。