メディア所有規制の緩和を提案


米連邦通信委員会(FCC)のケビン・マーチン委員長はこのほど、米国におけるメディア所有規制の改革案をFCC委員会に提出した。(FCC委員会はマーチン委員長を含む5人の委員で構成されている)。同改革案が承認されれば、一新聞社が同一サービスエリアにテレビ局あるいはラジオ局一社を所有できるようになる。対象となる新聞社は全米のトップ20市場に限られる。また、同市場に少なくとも8社の独立したメディア企業が存在することと、テレビ局を所有する場合は、そのテレビ局が同一市場でトップ4にランクされていないことなどが条件となっている。

同提案は、米国で32年間続いているクロスオーナーシップ(新聞社が放送業に資本参加すること)禁止原則を緩和しようというもの。マーチン委員長の狙いは、不振を続ける新聞業界を救済することにある。同委員長は声明の中で、「過去30年間に300の日刊紙が廃刊になっている。クロスオーナーシップを認めることで、新聞社の運用コストの削減などが可能となり、新聞業界の寿命を長引かせることが出来る」と強調している。

しかし、同案に対しては、「メディア企業の巨大化は『表現の自由』を制約することにつながりかねない」、などとするメディア所有規制支持派から反対の意見が出ているほか、新聞社側からも「規制緩和が特定地域に限定されている」などと不満の声が出ている。 また、連邦議会からも、「新聞業界が瀕死の状態とするマーチン委員長の理由付けは簡単には納得できない」(ドーガン民主党議員)などとする疑問の声が上がっている。