メディア王親子の間柄に亀裂?


米巨大メディア企業の一つバイアコムのサムナー・レッドストン会長(84)と娘のシェリー・レッドストン副会長(53)のデリケートな関係が今、ウォールストリートの話題をさらっている。レッドストン氏の後継者と目されているシェリー・レッドストン氏がバイアコムの副会長職を辞任するとの報道が流れたからだ。

レッドストン会長はバイアコムばかりか、昨年初頭に分社化したCBSコーポレーションをも配下に置くメディア王。歯に衣着せぬ発言や、独裁的な経営スタイルがこれまでにも様々な方面で話題になっているのは周知の事実。言動が傘下の映画製作部門「パラマウント・ピクチャーズ」のイメージにそぐわないと、俳優のトム・クルーズさんをあっさり解雇したことはまだ記憶に新しいところ。

シェリー・レッドストン副会長のスポークスマンは、「副会長職を辞任する予定も、取締役職も辞めるつもりもない」と否定。サムナーさん自身もウォールストリートで開かれたメディア会合で、「取締役会から除名するつもりはまったくない」と発言したという。ニューヨークタイムズ紙との電話インタービューでも、「娘に対し、役割を軽減するよう要求したこともないし、彼女が引き続き私の後継者の最右翼であることに変わりない」と言明した。

ただ、昨年、息子のブレントさんが父親を相手取って訴訟を起こすなど、レッドストン一族内の対決劇はこれまでにも何度か表面化したことがあり、業界筋では「父親を恐れず反対意見を言うことで知られるシェリーさん。両者の間でなんらかの軋轢が生じているようだ」との見方が支配的だ。

シェリーさんはCBSコーポレーションの副会長も勤め、両社の株合わせて約16%を所有しているという。バイアコム、CBS両社の企業価値は530億㌦(約6兆3,600億円)を上回るとされている。