モバイル進出機運が高まる米新聞業界

米新聞業界でモバイル市場への進出機運が高まっている。米発行部数監査会(ABC)が全米375の新聞発行人などを対象に調査をした結果、すでに新聞記事を携帯電話などにモバイル配信していると答えた社が52%と、半数を超えていることが明らかになった。


また、58%が、すでに自社のコンテンツ(記事)のモバイル配信に適したフォーマット作りに着手していると答えた。モバイル専門のサイトを創設した社もあり、ABCでは、「新聞業界がモバイル配信の先駆者になっている」と分析している。ABCによれば、雑誌社の45%もモバイル配信を始めているという。


同調査によれば、「ホームページへのアクセス数がモバイル配信後10%以上増えた」と答えた新聞社が全体の44%にも上り、モバイル効果に注目している。米国では全米28の新聞社を傘下に置くマクラチー社が、AP通信が展開するモバイル・ネットワークと提携。全米最大の新聞オーナー会社ギャネット社ではモバイル配信技術会社「text4info」を買収するなど、生き残りをかけた新サービス参入を始めている。


一方、米国ではアマゾン社の「キンドル」に代表される電子書籍を読むための専用携帯端末の人気が急上昇中。ニューヨークタイムス紙など新聞社も同端末向けに紙面の配信を始めている。こうした端末が、今年のクリスマス商戦の人気商品になると予想する向きもあるが、問題は価格が399ドル~489ドルと効果なこと。米調査会社「フォレスタ・リサーチ」では価格が100ドル以内に収められれば爆発的なヒット承商品になる可能性があると指摘している。


なお、毎日7700万人が訪れるとされている全米最大の書籍チェーン店「バーンズ&ノーブル」でも、電子書籍(デジタル・ブック)への本格的な進出を検討している模様だ。