ユーチューブ、ハリウッドと配信契約


動画投稿サイト最大手「ユーチューブ(YouTube)」は16日、ハリウッドスタジオ大手などと番組や映画配信契約を締結したと発表した。経済誌フォーブスによると、ソニー・ピクチャーズ・エンタテイメント、ライオンズゲート、MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)など映画会社大手をはじめ、ケーブル専門局などコンテンツ提供者は14社に上る模様。ユーチューブは、今年3月のユニーク・ビジター数が9000万件を超えるなど、米国の動画ファンの3分の2が利用する圧倒的人気を誇るサイト。素人が制作する短編ビデオの投稿サイトからテレビ番組や映画の全編が配信される動画サイトにシフトする動きとして注目を集めている。


新戦略の背景には同サイトの広告収入のてこ入れがあるようだ。投稿されるビデオには広告が付かないうえに、一月当たり50億件以上とも言われるストリーミング数に対応するためのサーバーの維持や運営に巨額の経費を出費している。そのため、”圧倒的な人気“が収益につながっていないのが現状。ユーチューブ側は否定しているが、大手総合金融機関クレディ・スイスでは、今年は4億7000万㌦(約470億円)の赤字経営になるという。

また、NBCユニバーサルとニューズ・コーポレーションが共同出資して2008年3月に本格的サービスを始めた動画配信サイト「フールー(Hulu)」に対する対抗措置の意味合いもあるようだ。フールーではネットワークテレビのプライムタイム番組が全編提供されており、人気急増中。それぞれの番組にはテレビ型のCMが挿入されており、広告収入を生み出している。

ユーチューブの親会社グーグルのエリック・シュミット最高経営責任者はニューヨーク・タイムズ紙に、「市民からの動画投稿はこれからも大事にしたい」と答え、大きな方針転換を否定している。一方、素人素材以外のコンテンツについては将来的には課金することも有り得るとの考えを示すなど、同サイトの収入拡大に期待をかけている。