ユーチューブが自動削除システム導入

米国で爆発的な人気を博している動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」はこのほど、同サイトに投稿されている違法ビデオの自動削除システムの導入を発表した。新技術は「ユーチューブ・ビデオ・アイデンティフィケーション」と呼ばれ、デジタル・フィンガープリンティング(デジタル指紋)技術を使い、同サイトに投稿された番組などが著作権侵害にあたるものかどうかを識別する。

ネットワークなどメディア企業側があらかじめ著作権侵害の対象となる映像などをユーチューブ側に提出する必要があるが、ユーチューブ側は同サイトに投稿された映像をサーバーに蓄積された提出ビデオと照合、クロとなれば削除されるという仕組みだ。新技術はまだ初期段階で、これからも改良を続けて行くという。米メディアの報道によれば、ウォルト・ディズニーやタイム・ワーナーなど米メディア企業大手が商業実験に参加した模様だ。

ユーチューブとその親会社であるグーグルを相手取って著作権侵害の疑いで10億㌦(約1,150億円)の損害賠償を求めているバイアコム社の顧問弁護士マイケル・フリックラス氏は、「著作権侵害をもとに膨大な利益を上げているグーグルが、責任ある商業行為へ向け動きだしたことを歓迎する。新技術が効果的に働くかどうか注意深く見守って行きたい」とするコメントを発表した。実験に参加したタイム・ワーナーの関係者は、「満足できるシステムになるまでにはまだ相当の道のりが残されている」(ウォールストリート・ジャーナル紙)と述べているが、業界内には「違法投稿問題にグーグルが歩み寄りを見せたもの」と、一定の評価をする向きもある。

グーグル側はこれまで、「著作権保有者から違法性が指摘されるたびにビデオを即削除してきた」と主張、予防的措置は必要ないとの考えを示していた。