ラジオ番組コメンテーターが破格の新契約

米ラジオの人気トーク番組コメンテーターが8年間に渡る新契約を約4億㌦(約420億円)で更新した。テレビと並び、広告支出の減少傾向が続く既存メディアとして位置づけられているラジオ番組の出演者に払われる破格の契約料金ということで米メディア界の話題をさらっている。このコメンテーターは超保守派で知られるラシュ・リンボー氏(57歳)。全米最多のラジオ局を傘下に置くメディア企業「クリア・チャンネル・コミュニケーションズ」と契約した。来年で満期となる現行8年契約は総額2億8,500万㌦(約299億円)。新契約の年俸は一挙に1,440万㌦(約15億円)も跳ね上がることになる。クリア・チャンネル・コミュニケーションズでは米国でリンボー氏の保守的な発言を受け入れる環境が向こう8年間は続くと見込んだ。

16歳の時に故郷のミズーリー州のケープ・ジラード市のラジオ局で仕事を始めたリンボー氏は、米国保守派の論客として知られたウィリアム・バックリー氏(今年2月に死去)に傾倒、ロナルド・レーガン元大統領の熱心な支持者としても知られる。過去20年にわたり米ラジオ界トーク番組の第一人者として君臨。共和党が議会支配に成功した1994年の本選挙や1999年のクリントン前大統領の弾劾に少なからぬ影響力を及ぼしたとされている。

物議をかもし出す発言でも知られる同氏の番組は連日正午から午後3時まで全米600のラジオ局で放送されていて、平均350万人の聴取者を引き付けている。ラジオ業界誌「Talkers Magazine」の編集長マイケル・ハリソン氏はニューヨーク・タイムズ紙に、「リンボー氏は放送の達人。米国放送界で彼ほど優れた才能を備えたものはいない」と述べている。リンボー氏はニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで、「すべてのアメリカ人が私の考え方に同意するまで、この仕事を辞めるつもりは無い」と気炎をはいている。