ローカルTVの天気予報の存在に黄色信号


米国のローカルテレビ局の看板番組といえば、ローカルニュース。そのローカルニュース番組の中で、地元視聴者にもっとも親しまれているのが天気予報のコーナーだろう。ニューヨーク市近郊の町、ロチェスターにあるWHEC-TV局のゼネラル・マネジャー、アーノルド・クリンスキー氏は、業界誌「ブロードキャスティング&ケーブル」とのインタビューで、「地元の人々がローカルニュースを見る理由はただ一つ。それは天気予報を見るためだ。これからもその傾向は変わらないと確信している」と述べている。


視聴率が上がれば、広告(CM)収入にも直結するだけに、各局は"お天気のコーナー“には、人気予報士の採用や育成など、相当な力を入れているのが現状だ。しかし、そのお天気コーナーの人気が低下し始めているという。


同誌によれば、天気予報人気の低下は、スマートフォンなどが配信する天気予報が普及したためだ。米生活者の間で、アイフォンなどを使って、外出中でも簡単に入手できる天気予報へのニーズが急速に高まっているという。ミネソタ州ミネアポリスの地方局で長年に渡り天気のコーナーを勤めたある予報士は、「大雨、豪雪などによる大きな被害が起きたときなどは、皆がテレビに釘付けになるだろう。ただ、そういう日は年間45日間ほどしかない」と述べ、ローカルテレビの天気予報の役割が終わったかもしれないとの考えを示している。


一方、ノースカロライナ州チャールストンにあるWCDB-TV局のゼネラル・マネジャー、リッ・リップル氏は、「古い考えかもしれないが、"テレビ局が天気を気にしてくれている“と思っている人はまだまだ多いはず」と述べ、ローカル局の天気予報にまだ需要があることを強調している。


米調査会社スカーボロー・リサーチの調べでは、成人の36.5%が、「過去1ヵ月以内に天気予報をインターネット上で調べた」と答えたのに対し、33.6%が、「ローカルニュースで見た」と答えた。