ローカルTV局経営が苦境に


米国のローカル局の広告収入が落ち込んでいる。米地上波テレビ事業者の代表団体「テレビ広告局(TBA)」の調べでは、今年1-3月期における全米のローカル局の広告収入は昨年同時期比2.3%の落ち込みを見せた。今年は大統領選挙の年。ホワイトハウス奪還を狙う民主党の候補選びが歴史的な接戦を繰り広げていて、各ローカル局に思いがけないCM収入が転がり込んでいる。米調査会社「TNSメディア」によると、今年1-3月期のローカル局に対する選挙CM出稿量は2億1,610万㌦(約223億円)と前回大統領選挙があった2004年当時の9,970万㌦(約103億円)の2倍以上を記録した。そのため、業績が挙がると見込んでいたローカル局にとって意外な結果となった格好だ。

サブプライムローン問題や原油高などをきっかけに住宅業界や自動車業界が不振で、これらのセクターの企業による広告費削減がローカル局を直撃している模様だ。ローカル局の経営を支える重要なスポンサーである自動車販売店はもとより、レストラン・チェーンや家具店も軒並みCM出稿を控えている。

インターネットの普及で、読者や視聴者の新聞・テレビ離れが加速しているが、地域に密接したローカル局の経営は比較的安定しているとされてきた。しかし状況は一転、ローカル局の経営が悪化するのは避けられない状況であるとの認識が各局の間で広がっている。

メディア・リサーチ会社「ボレル・アソシエーツ」の代表、ゴードン・ボレル氏は、「ローカル局が新しい収入源を模索する時が到来した」と述べ、具体的なアイディアとしてインターネット上の求人広告や動画配信サービスなどを挙げている。同氏はまた、「今や地方のテレビ市場が4~5局のテレビ局を擁する時代は去った。ここ数年以内に弱小局が次々と閉鎖される事態に発展するだろう」と予測している。