ローカル局経営に回復の兆し


不況にあえぐ米ローカルテレビ局経営に回復の兆しが見えてきた。米調査会社SNLケーガン社によれば、今年のローカル局全体の売上高は昨年比17%減の176億㌦(約1兆6720億円)と予測。前回景気後退を経験した2001年以来最悪のものとなる。ところが、来年は本年比5.2%増となる185億㌦(約1兆7575億円)と好転する見込みだ。


同社によれば、ローカル局の売上高は中間選挙と冬季五輪があった2006年を除き、2005年以降毎年減少してきた。2005年の売上高は前年比6.8%減で、2007年は同8.9%。2008年は大統領選挙や夏季五輪があったにもかかわらず、同2.5%に減少した。来年は久方ぶりの増収に転じることになる。


来年の売上高アップには、放送外収入が大きく寄与する模様。ケーブルテレビ(CATV)事業者などから得る番組再送信料や、インターネット配信からの収入が重要な役割を果たすことになるという。ケーガン社のアナリストロビン・フリン氏は、再送信料について言及し、「ここ数年、テレビ局が積極的に行っていたケーブル局や衛星放送などへの再送信サービスの契約交渉が功を奏した。放送外収入の成長エンジンの役割を果たしている」と分析している。


番組再送信から得る収入は2008年には5億㌦(475億円)だったものが、2009年には7億3870万㌦(約702億円)にふくらみ、20012年には10億㌦(約950億円)を突破する勢いだ。


逆にネットワークが配信する番組放送から得る補償金「ネットワーク・コンペンセーション」の減少傾向に歯止めがかからない状況だ。2009年には8160万㌦(約76億円)のものが、来年は4820万㌦(約46億円)に減少するという。2000年の同補償金が約5億㌦(約475億円)だったことを考えれば、これまで系列局を支えてきたネットワークの衰退振りがうかがえる。