不況でテレビ人気が急上昇

不況に苦しむ米消費者が、手軽な娯楽としてテレビ視聴を選んでいる。米コンサルティング会社大手デロイト社がこのほど発表した調査結果「State of the Media Democracy」09年版によれば、米市民の34%が、家族そろって楽しめる娯楽手段として「テレビ視聴」を第1番目に挙げていることが分かった。08年比26%も増加した。


最も人気のあった「余暇の過ごし方ベスト3」の中で、テレビ視聴を挙げた人は71%にも上った。これに対し「映画鑑賞」を挙げた人は全体の22%に留まった。ただし、映画については、「新作を見るためには映画館に行かなければならない」「3D映画の話題作が豊富」なことから、調査結果とは裏腹に映画人気はむしろ上昇する(デロイト社アナリスト、エド・モラン氏)と見ている。


テレビに続き、インターネット閲覧が2位、これに、音楽鑑賞(3位)、読書(4位)と続いており、デロイト社では、「消費者の財布の紐が固くなっていることに加え、自宅で余暇を過ごす人の数が急増した」と指摘している。「家計簿の中で娯楽費を削減するつもり」と答えた人は全体の72%にも上った。


ところで、09年の一人当たりの週平均テレビ視聴時間は、前年比2時間増となる17.8時間に上昇した。それに加え、媒体別の広告効果を調べたところ、「テレビCMに影響される」と答えた人が全体の83%にも上り、雑誌(50%)をおさえ1位にランクされた。視聴時間増大に加え、テレビ局の経営者にとって不況がもたらした吉報となった。

モラン氏は、「今回の調査で際立ったのはテレビ人気。米国人はいまだに、居間においてあるテレビが大好きだし、テレビ番組にも大いに愛着を感じていることが判明した」と結論付けている。同調査は、14~75歳、2047人を対象に、09年9月11日~10月13日にかけて実施された。