中国当局が北京周辺の中継を許可


開催まで1ヶ月をきった北京五輪の取材方法をめぐり中国政府と外国テレビ局の交渉が暗礁に乗り上げていたが(6月27日号既報)、7月9日、両者が合意に達した。米ウォールストリート・ジャーナル紙や業界誌などが一斉に報じた。報道によると、これまで生中継は、各競技場に限り許可するとしてきた中国当局が、北京周辺を含み自由に場所を選びたいと要請していた各国テレビ局に折れる形で決着した。これにより各国放送局は、天安門を含む北京周辺から自由に中継が出来るようになった。

ただ、天安門からの中継は、自国での独占放送権を所有するテレビ局のみに許可が下りる模様。時間も午前6~10時。午後は9~11時に限定される。その他のテレビ局はビデオ収録のみ可能で、中継は許可されない。また、万里の長城など、文化遺跡などからの中継については、特別許可証の発行を受ける必要がある。国際オリンピック委員会(IOC)に多額の放送権を支払っている米NBCや世界のテレビ局からは一様に歓迎の声が上がっているが、「実際に許可書を受け取るまでは楽観できない」(APテレビジョン・ニュース)などと慎重な構えを崩さない向きもいるようだ。

中国当局責任者は、治安当局者やボランティアを集めた集会で、「北京五輪が成功裏に終わるかどうかはすべての競技が平穏無事に行われることにかかっている」と強調したことが伝わっているが、外国メディアに自由な中継体制を許可すれば、抗議行動などが起こりかねないとの懸念を抱えている模様。ギリシャのオリンピアで行われたオリンピック聖火の点灯式で起きた抗議行動の映像が世界に配信されたことはまだ記憶に新しい。