予想を下回るTV番組閲覧数


米メディア企業大手バイアコムが3月中旬、同社傘下のケーブル局などの番組を無許可で掲載されたとして、米人気動画共用サイト、ユーチューブ(YouTube)と親会社の米検索大手グーグルを相手取ってニューヨーク連邦地裁に提訴したことはまだ記憶に新しいが、実はこうした番組の閲覧数は想像以上に少ないとする調査結果が出た。

インターネット上の動画サービスの調査会社「Vidmeter(ビッドメーター)」によると、ユーチューブに投稿されている動画の中で、著作権侵害に当たるとの抗議を受けて削除されたネットワーク番組は全体のわずか9%。しかも、これら削除された番組の閲覧回数は全体の6%ほどだという。バイアコムは、無許可で掲載された人気番組の中には15億回以上も閲覧されたものもあると主張、著作権侵害などの損害賠償額は10億㌦(約1,200億円)以上になるとしている。

仮にVidmeterの調査結果が正しいとなれば、「ユーチューブの爆発的な人気の要素となっているのは素人の投稿ビデオではなく、ネットワークの人気番組だ」とする大手メディアの主張が覆される可能性も出てくる。オンライン・ビデオ関係者の間には、「今回の調査結果でこれまで苦戦を強いられてきたユーチューブ側がメディア企業を相手にした交渉を有利に進めることが出来る」との観測も出てきている。

ただ、「削除された番組は実際にユーチューブで共用されている番組のわずか一部に過ぎない。制作者の許可を得ていない番組の投稿数は完全に掌握されていないのが現状で、今回の調査結果がユーチューブの全体像を反映しているとは思えない」(有力ネット専門誌「ワイヤード・ニュース」)という意見もあり、ユーチューブ対ビッグ・メディアの戦いの行方は不透明な情勢だ。