人気NFL番組がパソコン上で視聴可能に


 米ケーブルテレビ(CATV)の加入者が、米国で圧倒的な人気を誇るスポーツ専門局ESPNの大人気番組「マンデー・ナイト・フットボール(MNF)」をインターネットに接続したパソコンで同時視聴できることになった。視聴にはタイムワーナー・ケーブル(TWC)の加入者であることが条件。今米国で急増しているネット上の間接的な有料番組配信「TV Everywhere」(どこでもテレビ)サービスの一環だ。MNFはNFL(米プロフットボール・リーグ)が主催するゲームの中継番組。同サービスは10月25日から始まった。


人気番組が「TV Everywhere」を通じて提供されている例はすでに複数あるが、いずれもドラマ番組。しかも放送後にオンデマンド形式で提供されているものばかり。スポーツ番組、しかも今シーズン、トップを争う超人気番組がストリーミング形式で生放送される例は過去に無く、米メディア業界の話題をさらっている。


TV Everywhereは、テレビ番組のインターネット配信の普及で、加入者の離反を懸念したCATV事業者がスタートさせたもの。番組供給サイドにとっても、ネット上への違法配信を防ぐとともに、新たな収入減として同サービスに着眼する向きが増えている。TWCの番組編成担当責任者メリンダ・ウィットマー氏は、「今回の決定は、スポーツ生番組をインターネット上で生配信することは、番組供給側と配信側(CATV)双方に利益をもたらす有意義なサービスであることをスポーツ業界に示すことになる」と強調している。 


一方、「米テレビ界の牽引車となっているスポーツ番組。しかもケーブル局のナンバーワン番組をTV Everywhereに供出することには高いリスクが伴う可能性もある」(米経済紙ウォールストリート・ジャーナル)などと、懸念の声も寄せられている。


ESPNではパソコンに留まらず、来年中にはアップル社の人気タブレット、アイパッドやスマートフォン(多機能携帯電話)でも同TV Everywhere サービスを展開したい考え。(米アイスホッケー・リーグ)やNBA(米プロバスケットボール・リーグ)などは、携帯端末向けの有料配信を計画中で、それらの新サービスに少なからぬ影響を与える可能性もありそうだ。