今シーズンのTV視聴時間が増大


「米国のテレビ視聴時間増大に伴いCM視聴時間も増えている」とする調査結果が明らかになった。米カリフォルニア州サンタモニカのメディア・コンサルティング会社「RPA」が5月に終了した米テレビ2008-09年シーズンをニールセン社のデータをもとに分析したもので、通称DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)と呼ばれるHDD内蔵型デジタル録画機の視聴習慣に注目している。DVRといえば、CM飛ばし視聴の代名詞のような存在で、広告主などから敵視されているが、RPAによると、番組視聴数の上昇に深く寄与していることが分かった。


同社によると、2008-09年シーズンにおける地上波局とケーブル局を合わせたプライムタイム(午後8~11時)の世帯視聴者数は平均9621万人と前シーズンの9350万人を越えたことがわかった。この視聴者数にはDVRで録画した番組を放送後7日以内に視聴した人の数も含まれている。DVR視聴を除外した世帯視聴者数は平均8885万人と、前シーズンの8848万人に比べ微増に留まる。


同社では、DVRを使った、好きな番組を好きな時に視聴する、いわゆるタイムシフト視聴がすでに飽和状態に近づいていると見ている。タイムシフト視聴のためにDVRを利用するユーザーはすでにDVR保有済だという。同社によると、DVR保有世帯は今後も増え続けるが、それらの世帯のCM視聴時間はむしろ増大するとしている。ちなみに、米テレビ世帯におけるDVR普及率は30%強。


PRAのメディア投資部門を担当するキャサリン・キャンプ上級副社長は、メディア・サイト「メディア・ライフ」とのインタビューで、「今回の調査で明らかになったことは、消費者がいまなおテレビを見続けていることが浮き彫りになった。テレビが終焉を迎えたメディアではなく、当面は広告出稿の好対象であり続けること。この点をいかに活用する、メディア業界経営者の手腕にかかっている」と強調している。