余剰帯域利用の再送信サービス開始


 動画配信技術開発などで知られるセズミ社(Sezmi Corporation)は2月18日、ロサンゼルス地域を対象に、ローカル局から余剰帯域をリースし、テレビ番組配信を始めた。米国ではケーブルテレビ (CATV)や衛星放送事業者が提供する再送信サービスでテレビを見ている人が全体の約9割を占めるているが、それらのサービスを脅かす可能性のあるライ バルが出現したことになる。


ローカル局十数社の受信と、ブロードバンド経由のオン・デマンド・サービスの組み合わせなら月額4.99㌦(約450円)と加入料が超破格なことが特徴 だ。これに、人気ケーブル局15チャンネルを合わせたサービス(月額19.99㌦)も提供されている。同サービス受信には、専用アンテナと受信機の設置に 加え、ブロードバンド(高速大容量)通信へのアクセスが必要。


米国のケーブルテレビ加入料は、デジタル・ケーブルが全国平均75㌦、アナログ・ケーブルが58㌦、衛星放送は69㌦と、いずれも高価なことから、消費者 からは絶えず不満の声が上がっている。その上、デジタルCATVの場合は、チャンネル数が1000を超えるものも多く、「見たくもないチャンネルが多過ぎ る」などとする批判の声も少なくない。


セズミでは、こうした声を背景に、「消費者のニーズにあった手ごろなサービス」の立ち上げに踏み切ったが、昨年11月から3ヶ月間にわたった商業実験(無 料)には、1000軒のサンプル世帯を募集したところ、希望者が14000軒を超えるほどの人気ぶりだったという。


同社では今年中にロサンゼルス以外の地域でもサービスを展開したいとしており、目下、USAネットワークやディスカバリー・チャンネル、さらにはCNNな どの有料ケーブル局との再送信契約交渉も進んでいる模様。不況が追い風となりセズミ人気に火がつけば、CATV事業者などにとって無視できない存在となり そうだ。


ただ、本格サービス加入に際しては、300㌦(約27000円)ほどの受信機(STB)を購入しなくてはならず、これに躊躇する消費者が出てくる可能性も ありそうだ。同受信機は、全米最大の家電量販店「ベスト・バイ」が独占販売しているが、18日時点での販売数などは公表されていない。