全米29州でアナログ放送停止テスト


米国ではデジタルテレビ放送への完全移行期日が2009年2月17日に設定されている。期日まで2ヶ月となった12月17日、全米の29州と首都ワシントンが参加し、アナログ放送停止テストが行われた。これだけ大規模のテストは初めて。米連邦通信委員会(FCC)の呼びかけによるものだが、全米放送事業者協会(NBA)が率先して各州のテレビ局に呼びかけ実現した。当日は、各ローカル局がそれぞれ任意の時間にアナログ放送が短時間にわたり停止され、来年2月17日をもってすべてのテレビ放送がデジタル化されることを字幕メッセージなどで通知した。

テストは主に、全米に1,300万軒(ニールセン社)といわれる直接受信世帯が対象。直接受信世帯の多くが、一人住まいの高齢者やヒスパニック系住民(スペイン語を日常語とするラテン・アメリカ系)で占められている模様。これらの住民は、言葉の問題や経済的理由でデジタル化の中で取り残されてしまうグループとされており、対応が急がれている。

同テストに対する視聴者からの反応など詳しい情報は明らかになっていないが、これに先立つ12月9日、同様なテストを実施したボストンの公共放送局WGBH-TVが設置した電話相談センターには相当数の問い合わせがあり、テスト実施の効果があったという。

ところで、有力ケーブル局ターナー・ブロードキャスティングの市場調査担当者は、業界誌テレビジョン・ウィークに、「完全デジタル化がケーブル局に恩恵をもたらすことになるだろう」との見通しを示した。同社では、直接受信世帯の多くが、アナログ停波を機にケーブルテレビの再送信サービスに加入者すると見込んでおり、これらの視聴者が直接受信では見られなかったケーブル局の虜になるだろうと予測している。