再放送番組が存続の危機?


過去50年以上に渡って米テレビ業界の大切なコンテンツとなってきたのが再放送番組。ケーブルテレビ(CATV)や衛星放送が流す専門局の編成の柱になってきたばかりか、こうした番組を売る側のネットワークにとって欠かすことのできない副収入源になってきた。その再放送が今、存続の危機に瀕しているという。

業界誌「バラエティー」(4月2日号)によると、最大の理由はネットワークによる番組のブロードバンド配信。4大ネットワーク(ABC、CBS、NBC、Fox)ではプライムタイムで放送されている人気ドラマなどを、翌日にはネット配信するというのが最近の傾向だ。

また、ネットワークが、再放送に適したコメディーや短編番組の編成をしなくなったことも要因の一つになっている。そして、ハードディスク内蔵の録画機、デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)の普及で、一夜に裏番組も含め複数の番組を録画・視聴できるようになったこと。さらには、番組のDVD発売が、シリーズ終了後わずか数日のうちに始まることもなども手伝って、再放送へのニーズが極端に減ってしまったようだ。

ABCネットワークの編成担当責任者ジェフ・ベイダー氏は、番組のネット配信などについて、「様々なプラットフォームで番組が見られるようになったがあくまでプライムタイムが出発点。番組配信にサイクルをつくり、番組寿命を長持ちさせるのが狙いだ」と楽観的。

しかし、「視聴者にとって再放送番組がなくなるのは大した問題ではないが、ネットワーク経営陣にとっては収入にかかわる重要な問題だ」(バラエティー誌)と危惧する声もある。