創業者一族がCATV会社を買収へ

ニューヨーク近郊のケーブルテレビ(CATV)事業者大手「ケーブルビジョン・システムズ」は2日、創業者のドーラン家に約106億㌦(約1兆2,720億円)で身売りすると発表した。ドーラン家は、これまでも買収提案を繰り返してきたが、会社側と条件で折り合うことができず、今回は買収金額を大幅に上乗せして合意に達した。ただ、最終的にはドーラン家を除く株主の半数以上の承認が必要で、買収が最終的に決着するかどうかは不透明な情勢だ。

ニューヨークタイムズ紙などによると、株主の中に、今回ドーラン家が提示した買収額が低すぎるとする意見も多く、ドーラン家がさらなる買収金額の上乗せを迫られる局面が出てくることも否定できない。株主の中には、ドーラン家が全権を握った後に、即CATV部門をタイムワーナー・ケーブルに売却し多額の利益を得るのではとの猜疑心をもつ意見も少なくないという。

ケーブルビジョンのCATV部門は、契約者数300万超と、コムキャストやタイムワーナー・ケーブルなどの大手CATV事業者と比べ、比較的小規模。しかし、サービスエリアがニューヨーク近郊に控える全国でも有数な裕福層が住む地域に集中していることから、他CATV事業者の羨望の的になっている。同じくニューヨーク地域に基盤があるタイムワーナー・ケーブルは80年代から数回にわたり買収を持ちかけている。

ケーブルビジョン・システムズは、CATV部門のほか、世界で最も有名なアリーナなどといわれる「マジソン・スクエア・ガーデン」や「ラジオシティー・ミュージック・ホール」、そして米プロバスケットボール協会(NBA)に所属する「ニューヨーク・ニックス」やアイスホッケー・チーム「ニューヨーク・レンジャース」のオーナー会社としても知られる。