加州山火事で市民ジャーナリストが大活躍


先月下旬、米カリフォルニア州南部を襲った山火事は、ほぼ東京都に匹敵する面積を焼失し、100万人近い避難者を出すなどの大災害になったが、自らも被災者となった市民が提供したビデオや写真が報道番組に大きなインパクトを与えた模様だ。

CNNテレビには山火事発生5日目にあたる9月25日午後2時の段階で、現場の市民から約2,000点のビデオや写真が送られたという。厳正な審査の結果、300の映像が選ばれたが、いずれも息を呑むほどの迫力あるものだった。CNNの編集担当上級副社長、ナンシー・レイン氏は、「自らの家が炎に包まれる姿を、必至に逃げながら撮影された映像は、まるで地獄の入り口に引き込まれそうな錯覚を覚えるものだった」と映像の凄まじさを語っている。レイン氏はさらに、「我々自身が携わっている主流メディアの報道を否定するつもりはないが、被写体にこれほど至近距離で、しかもパーソナルな思いを込めた撮影は、既存の報道機関には真似の出来ないものだ」と感想を述べている。

CNNのライバル局MSNBCのデジタル部門の副部長、トム・ブリュー氏も、同局のウェブサイトに掲載された市民ビデオや写真について、「今までに見たこともない真実に迫る映像にびっくりさせられた」と述べている。

ニューヨーク大学でメディア学を教えるジェイ・ローゼン教授は、「今回の山火事は、同時多発的に予告もなく広範囲な箇所で発生した。現場への道が寸断されたケースも多く、報道関係者が総力を挙げてもカバーしきれるものではなかった。被災者や付近の住民が市民ジャーナリストとして活躍できる条件が揃っていた」と語っている。また、南カリフォルニア大学のマスコミ学科のトーマス・ホリハン教授は、「刻々と移り変わる現場の情報を市民ジャーナリストが伝えてくれ、貴重な情報をもたらしてくれたことの意味も大きい」としている。