北京五輪のHD放送は756時間に


米NBCネットワークのイベント担当専務兼NBCスポーツ部門のエクゼクティブ・プロデューサーを努めるデイビッド・ニール氏はこのほど、ニューヨークで開かれたHD(高精細度)テレビ関連コンベンション「HDワールド」で基調演説し、北京五輪のほとんどすべての競技をHD中継すると発表した。NBCは米国における北京五輪の独占放送権保持者。ニール氏は、演説の中で、「NBCの北京五輪中継を通して、米視聴者はもとより、世界中のテレビ視聴者がHDテレビの存在を強く認識することになるだろう」と述べ、同ネットワークの五輪中継がHDテレビの周知に大きな役割を担うことになるとの見通しを示した。

ニール氏によると、来年8月8日から始まる北京五輪でNBCがHD制作する競技の合計時間は756時間に上る予定。NBCの五輪HD中継は過去にも例があるが、前回の夏季五輪、アテネ大会におけるHD中継時間は399時間と、北京のほぼ半分。ちなみに、NBCが始めて五輪イベントをHD放送したのは、2002年に米ユタ州で開催されたソルトレイク冬季五輪だが、この時は生中継ではなく、122時間分の競技がHD録画中継された。また、2006年にイタリアで開催されたトリノ冬季五輪では303.5時間分がHD中継された。

ニール氏は、同ネットワークによる北京五輪HD放送が、HDテレビを本流に押し上げる重要なきっかけになることを重ねて強調したが、2008年中に全米の半数以上の世帯がHDテレビを所有すると予測している。

NBCでは1,000台のHDカメラを配置して北京五輪を取材する予定。ニール氏は、中国政府がHD中継に必須となる光ファイバー網の構築などに400億㌦(約4兆6,800億円)の予算を投入していると見ていて、「HD制作は中国政府の強力なコミットメントがあるからこそ実現する」と述べている。