北京五輪の取材規制に各国が懸念


来る8月に開催される北京五輪で予想される中国政府からの取材規制に諸外国テレビ局のいらだちが募っている。19日付けの米ウォールストリート・ジャーナル紙が伝えたもので、自由な取材や中継の許可を求める外国メディアと、規制を課そうとする中国当局との話し合いが暗礁に乗り上げたままだ。同紙によると、北京五輪取材に世界中から集まるメディアの数は約3万人。そのほとんどが五輪競技の取材ばかりでなく、天安門広場など北京周辺の名所からテレビ中継が出来ることを望んでいるが、外国メディアの取材を競技場内に封じ込めたい中国政府との間に軋轢が生じているという。

フランス国内における独占放送権を保有している国営放送フランス・テレビジョンは、同紙に対し、中国語堪能のスタッフを雇い、競技場以外からの街頭中継許可を求め連日のように中国政府と交渉にあたっているが、確約は得られていないと不満をもらしている。巨額な放送権料を払っている米NBCのオリンピック編成担当社長ゲリー・ゼンケル氏は声明の中で、「懸念となっている問題(取材規制)は、いずれは解決するものと信じている」と述べているが、同社の関係者によると、社内には、「希望通りの取材は実現しそうもない」と半ばあきらめムードが漂っている模様だ。

そんな中、国際オリンピック委員会(IOC)の広報担当者は、メディアに宛てた電子メールの中で、「中国当局は、五輪取材許可証の発行を受けたすべての外国メディアが競技場以外でも自由に取材や中継が出来ることを確約した」と発表したが、ウォールストリート・ジャーナル紙が入手した取材許可申請書は、カメラで撮影する具体的な被写体を事前に明記するよう求めているという。