回復傾向が鮮明な11年広告市場


 2011年の世界広告市場はテレビ向けの広告が成長エンジンと なって回復基調を維持する見通しだ。各有力調査機関が、金融機関大手「UBS」がこのほどニューヨークで開催した年次メディア会合で明らかにした。広告代 理店大手インターパブリック傘下の調査機関「マグナ・グローバル」が、今夏発表した広告支出増加予想率4.2%(前年比)を5.4%増と上方修正すれば、 広告会社大手「WWPグループ」傘下の「グループM」も当初の4.5%から5.8%増と上方修正するといった具合だ。それぞれ支出額については、4120 億㌦(マグナ)、5017億㌦(グループM)としている。


別な広告会社大手「ピュブリシス・グループ」傘下の「ゼニス・オプティメディア」は、前回の予測増加率4.8%を4.6%増(4705億㌦)と、若干の下 方修正をしているが、来年の広告市場は、「景気後退を跳ね返し強気の市場になる」などと楽観ムードが漂っている。ちなみに、グループMは上位70ヶ国の データを、マグナグローブは約60ヶ国のデータをもとに分析しているという。ゼニス・オプティメディアは詳細を明らかにしていない。


ゼニス・オプティメディアによれば、テレビ広告以外では、インターネット広告が広告市場全体の3倍のペースで成長しているほか、日本を除くアジア市場、中南米市場、東・中央ヨーロッパ市場など、新興地域の支出拡大が全体に寄与するという。


テレビについてマグナ・グローバルは、同媒体向け広告費が全体の40%を占め、「広告市場における支配的な存在感を維持する」としている。また、インター ネット上に配信される番組などに挿入される動画CMが急成長する見込みで、同社によれば、2013年までに新聞を追い越す勢いだという。


国別で見ると、相変わらず米国の広告費が圧倒的。グループMによれば、2011年の米広告売上高は前年比3.7%増となる1477億㌦と2010年の増加 率1.2%を大きく上回る成長を示すとしている。米国でもテレビ広告売上が好調に推移する模様で、同会合に出席したCBSコーポレーションの市場調査部門 責任者デイビッド・ポルトラック氏は、CBSネットワークの2011年における広告売上高は前年比3.4%増を見込んでいることを明らかにした。同氏によ れば、11年はオリンピック開催年でないことも鑑みれば「極めて良好な成長率だ」としている。