地デジを知らない人ほぼ半数


2009年2月に設定されている米地上波テレビの完全デジタル化まであと1年あまり。しかし、米国では生活者に十分に周知されていないのが現状だ。米ケーブルテレビ(CATV)業界の調査やロビー活動などにあたるCTAM(Cable & Telecommunications Association for Marketing )がこのほど発表した調査結果によると、テレビ世帯のほぼ半数にあたる47%の人が「アナログ波テレビ放送がいつ停止するのか知らない」ことが明らかになった。また、大半の人が「完全デジタル化についての情報をどこで入手できるか分からない」と答えている。

CTAMは、全米に2,200万~2,900万世帯とも言われる直接受信世帯を念頭に、「テレビ視聴は多くのアメリカ人にとってエンタテイメントの中核をなすもの。もし、テレビを取り上げられたら市民はどのような反応を示すだろうか」と、周知活動の遅れに警笛を鳴らしている。

一方、米政府説明責任局(GAO)はこのほど、「デジタル化移行への周知徹底のためには、FCC(米連邦通信委員会)と、商務省傘下のNTIA(National Telecommunications & Information Administration)が一致協力して対処することが必須うだ」とする報告書を米連邦議会に提出した。この報告を受けた下院電気通信・インターネット小委員会のエド・マーキー委員長は、「完全デジタル化が米生活者に与えるインパクトの大きさを考えれば、FCCとNTIAがGAO報告に耳を傾け、善処することが懸命だ」と、両政府機関に緊急対応を促した。

これに対し、FCCのケビン・マーティン会長は、「FCCは与えられた責任範囲でこれまで最大の努力を払っている」などと、GAO報告を真っ向から批判。NTIAも予算不足を理由に責任逃れの構えで、政府機関の不調和音が露呈するばかり。米議会内には、約1年後に迫った完全デジタル化に対する認知度の低さにフラストレーションと危機感が高まっている。