地デジ実験放送の候補地決定

米国で2009年2月17日に予定されているアナログ停波・地上波デジタルテレビ放送完全移行まであと9ヶ月。全米初となる本格的な試験放送が来る9月行われることになった。米連邦通信委員会(FCC)がこのほど発表したところによると、選ばれた地域はノースカロライナ州の大西洋に面したウィルミングトン市。実験放送日となる9月8日はアナログ波がいったん停止され完全地デジ放送が試されるという。

FCCは様々な地域の放送事業者に実験放送を打診していたが、応じたテレビ局はウィリミングトン市だけだった。FCCのケビン・マーテイン委員長は、「実験放送はデジタル放送完全移行のための極めて重要なプロセス。ウィリミングトン市の協力に感謝している」と述べている。
ニールセン社によれば、ウィリミングトンは人口18万人を抱える全米第135番目のテレビ市場。93%の世帯がテレビをケーブルテレビ(CATV)や衛星放送が提供する再送信で視聴している。CATV・衛星放送世帯数が全米の標準を上回っているが、サンプル地域に適していると判断した。

米国では地デジ移行で、放送がまったく見られなく世帯や、画面に砂がまかれたような状態(スノー現象)など、さまざまな受信障害に陥る世帯が900万世帯以上にも上る(米市場調査会社:セントリス)などとする予想が出ていて、本格的な実験放送の実施を促す声が高まっていた。ウィリミングトン市のビル・サッフォ市長は、米経済紙ウォールストリート・ジャーナルに、「同市が全国を代表して、米テレビ放送の完全デジタル化を順調に進めるためのおぜんだてをする役割を担うことになる。光栄だ」と述べている。