地上波TV広告収入、前年割れが大半


急速な景気後退の影響などで、米メディア界の雄が広告収入減に悩んでいる。全米をカバーする5つの地上波ネットワーク(ABC、CBS、Fox、NBC、CW)のうち、2008年のCM売上高が前年を上回った社が2社に留まったことがこのほど明らかになった。米調査会社TNSメディア・インテリジェンスによれば、前年の売り上げを上回ったのはFoxネットワークとNBCネットワーク。NBCの売上高は、前年比8.3%増となる53億9000万㌦(約5390億円)。Foxは5.4%増、45億9000万㌦(4590億円)だった。NBCが同年に開催された北京五輪中継、Foxはスーパーボウル中継という特別イベントに負うもので、「基本的にはネットワークにとって悲惨な年だった」(米銀大手ワコービア、メディア・アナリスト)。


2社以外では、CBSは前年比6.7%減となる66億4000万㌦(約6640億円)、ABCが0.8%減となる61億6000万㌦(約6160億円)、さらにミニ・ネットワークとされるCWは、前年比13.1%減となる7億9000万㌦(約790億円)と、軒並みCM売上げが落ち込んだ。TNSによれば、ネットワークの売上げが前年度割れとなったのは2005年以来初めて。

今年の見通しについては、「外国自動車メーカーや映画業界など、PR活動をてこ入れしてくる企業が少なくなく、昨年よりは改善する可能性もある」(米銀大手ワコービア)などとする声もあるが、大方は悲観的。ネットワークは、9月から始まる新シーズンの番組編成発表とCM予約販売をする「アップフロント」を来月中旬に控えているが、財布の紐が硬くなった広告主を相手に通常は1ヶ月ほどで終了する交渉が長引くのは必至な情勢だ。