報道番組にプロダクト・プレースメント


米ローカルテレビ局の報道番組が、番組内に商品を登場させる広告方法「プロダクト・プレースメント」を採用し、物議をかもし出している。同広告手法を取り入れたのはネバダ州ラスベガス市にあるFoxネットワーク系列のKVVUテレビ。同局の朝の報道・情報番組の司会者二人の前に常にマクドナルド社の新製品「アイス・コーヒー」がカメラに写るように並べられている。コップは透明なプラスチック製だが、マクドナルドのロゴがはっきり認識できる。同じ試みは、KVVUを所有するメディア企業「メリディス社」傘下のWFSBテレビ(コネチカット州ハートフォード市)やWGCLテレビ(ジョージア州アトランタ市)などでも実施されている。

さっそく消費者擁護団体などから、「プロダクト・プレースメントが報道番組に採用されるのは、重大な問題だ」などと批判が飛び出している。また、メディア界からも、「『アメリカン・アイドル』ではコカ・コーラのコップが人気の審判員3人組が写るたびに画面に飛び込んでくるが、同番組はリアリティー番組。報道番組に同広告方法が取り入れられるのはいかがなものか」(ニューヨーク・タイムズ紙)などと同局の決定に懐疑的な声が上がっている。

同局内にも反対意見が噴出した模様で、同局報道部長のアダム・ブラッドショー氏はニューヨーク・タイムズ紙に、「意義を唱えるスタッフが数多くいたことにほっとしている。彼らが立派なジャーナリストであることの証だから」としながらも、「経営が苦しいローカル局は、新たな収入源を模索している最中で、今回もその一環だ」と弁明している。同局によれば、このプロダクト・プレースメントは6ヶ月に渡る商業実験。食品汚染など、マクドナルドにとってネガティブな事件が発生した際などにはコーヒーカップはただちにスタジオ・セットから除去されるという。