報道番組のインターネット展開が活発化

米ネットワーク報道番組のインターネット進出が加速しそうな機運が高まっている。全米に大きな衝撃を与えたマイケル・ジャクソンさん急死の際に、関連情報を求めてインターネットに殺到した人が記録的な数字に上ったこともネットワーク担当者を勇気付けているようだ。特に姉妹会社の中にニュース専門局がない、ABCネットワークとCBSネットワークが攻勢に出ている。


メディア業界誌「ブロードキャスティング&ケーブル」によれば、ABCニュースのデイビッド・ウエスティン社長は社内向け通達の中で、「我々には、視聴者が見たい時に、視聴者が好きな方法でニュースが見られるようになる環境を完備するという目標がある。今回の一連の報道(ジャクソン氏死去)で、その目標に一歩近づいたことになる」と述べ、今後は、インターネットを活用したニュース番組配信(ウェブキャスト)により積極的に取り組んでいく考えを示した。


ABCは6月、大統領選挙をきっかけに起こったイラン国内の反政府運動の模様を伝えるため、ネット専用に30分番組を制作し、連日伝えた実績がすでにある。CBSも全国向け夕方ニュースのメイン・キャスターを務めるケイティー・クォーリック氏がインターネットのみで放送される特別番組で、トニー・ブレア前英首相との独占インタビューに臨むなどの試みを始めている。
このような傾向を受けて、ブロードキャスティング&ケーブル誌は、「ウェブキャストがネットワークにニュース専門局と同等の土俵をもたらした。今後の課題は、いかに多くの視聴者をひきつけ、新たな広告収入につなげていくかだ」と分析している。

テレビ報道のアナリストとして知られるアンドリュー・ティンドール氏は、「ニュース番組のマルチ・フラットフォーム配信は、既存メディアの報道番組の生き残りに直結している」と強調しながら、「テレビが見られない勤務時間に大事件や事故が起これば、人々はパソコンを使って情報を求める。ニュース番組がネット上でいつでも見られる状況になれば、ケーブル局がいらなくなるかもしれない」と指摘している。