大学バスケ放送はネットワークとケーブル局共同で


 米国で「夏の甲子園」に匹敵する学生スポーツといえば、全米大学体育協会(NCAA)主催のバスケットボール競技決勝ラウンド「マーチ・マッドネス(3月の熱狂)」だろう。毎年3月に一部リーグにランクされた65チームが全米チャンピオンシップを目指し競うあう。試合の模様はCBSネットワークが独占放送しているが、卒業後全米各地に散らばった卒業生たちが出身校のチーム応援に夢中になり、毎年高視聴率を獲得している。


そのCBS、NCAAとの契約が今年限りで満期となり、新契約の行方に業界の関心が集まっていた。新契約者としてウォルト・ディズニー傘下の人気スポーツ専門局ESPNなどの名前も取りざたされていたが、結局CBSがタイムワーナー傘下のケーブル局グループ「ターナー・ブロードキャスティング・システム」とパートナーを組む形で、共同契約を締結することになった。高視聴率は稼いでくれるものの、高騰を続ける放送権料に悩んでいたCBSが完全独占権を断念した形だが、ケーブル局の台頭を示す出来事としても注目を集めている。


CBSとターナーが合意した新契約は、2011年から2024年まで、14年にわたる長期契約。業界誌ブロードキャスティング&ケーブルによれば、契約金総額は108億㌦(約1兆260億円)に達した模様。2015年までは、CBSが各地区の決勝戦とチャンピオンシップ・決勝ラウンド4戦、さらにチャンピオンシップ決定戦の放送権を取得するが、2016年以降は、CBSとTBSが交互に隔年で放送することになった。地区ごとの予選や決勝戦は、CBSとターナーが平等に分担する。ターナーは傘下のチャンネル、「TBS」「TNT」「truTV」を動員し、「マーチ・マッドネス」のすべての模様が生中継されることになった。


CBSとターナー側は、広告販売や制作チームを共同運営する模様(広告業界誌「アドバタイジング・エイジ」)で、CBSのスポーツ部門、報道部門の社長を兼務するショーン・マクマナス氏は、「新しい戦略的パートナーシップだ。十分に採算の取れるものになる」と強調している。