大手CATVがターゲット広告展開


ニューヨーク市近郊のケーブルテレビ(CATV)大手「ケーブルビジョン」が、特定の商品などに関心を示す消費者をターゲットに絞る「ターゲット広告」の展開に乗り出した。同社は、米調査会社(Experian)が提供する個人データを照合、ニューヨークのブルックリン区とブロンクス区、さらにはニュージャージー州の加入者から選ばれた50万世帯を対象にそれぞれの世帯に見合ったCMを挿入するという。


具体的なCM挿入方法は、例えば、番組スポンサーが家電小売店チェーン最大手「ベストバイ」の場合、50歳代の男性が住んでいる世帯には同店が扱っている高級音響製品のCMが流されるが、十代の少年が住んでいる隣の世帯には、ビデオ・ゲーム器が宣伝されるといった具合。これらの世帯の、年収、人種、性別、子供やペットの有無、など家族構成や情報は事前に把握されている。


ターゲット広告がこれほどの規模で展開されるのは初めて。大手広告会社インターパブリック・グループ傘下のユニバーサル・マッキャンで世界戦略担当の最高責任者を務めるマット・サイラー氏はニューヨーク・タイムズ紙に、「同広告法については、長年にわたり注目してきた。50万世帯が対象になったことで本物が登場したことになる」と述べ、ケーブルテレビジョンのプロジェクトに大きな期待感を示している。ターゲット広告には費用対効果を重視する広告業界から、“夢の広告法”として熱い視線が注がれている。

同広告方法について、「プライバシーが侵害される可能性がある」などと心配する市民団体もあるが、ケーブルビジョンは、「どの世帯がどの番組を視聴しているかなど、名前も含めプライベートな情報は一切公表しない」としている。同社では今回のプロジェクトで成果が上がれば全加入者(310万軒)にターゲット広告を展開したいとしている。