存在感が高まるオンラインCM


米テレビ界では9月から始まる新シーズンの番組編成案内や番組で放送されるCMの前売り販売交渉(アップフロント=Upfront)が始まっているが、今年は異変が起きているようだ。本放送と並びオンライン配信する番組のCMに広告主が大きな関心を払っているからだ。

英広告代理手大手「WWPグループ」傘下の米国代理店「MEC Interaction North America」のアラン・シャンツァー氏は米経済紙ウォールストリート・ジャーナルに、「これまでのアップフロント交渉では、オンライン上のCMの扱いは本放送の交渉をまとめる際に“おまけ”として提供されるなど補完的なものとして扱われてきたが、今や交渉の重要なポイントになっている」と述べている。ウォールストリート・ジャーナル紙も、「オンラインCM担当者がネットワークとの交渉の場で本格的な役割を担う最初のアップフロントになる」と注目している。オンライン・ビデオ視聴が今や無視できない存在にまで成長していることを受けて、オンラインCMについても本放送並みとはいかないものの、実体のある取引が出来るようになったという。

米調査会社「ニールセン・オンライン」によれば、ウォルトディズニー系の番組が配信されているサイト「ABC.com」の今年4月のユニークビジター数は、昨年12月の350万人から65.4%増となる590万人に膨れ上がった。ビデオの視聴本数は6080万本だった。また今年3月に正式スタートしたばかりの動画サイト「フールー(Hulu)」(NBCユニバーサルとニューズ・コーポレーションの共同運営)は4月にユニークビジター数240万人を記録した。視聴本数は6320万件にも及んだ。ちなみに、米調査会社comScoreによれば、今年2月の米オンライン・ビデオ視聴本数は、前年比66%増と100億本を上回った。