完全デジタル化が米CATVに商機


来年2月17日に迫った米地上波テレビ放送の完全デジタル化が米ケーブルテレビ(CATV)事業者に新たな商機をもたらすことになりそうだ。米投資銀行グループ「コリンズ・スチュワート」のアナリスト、トーマス・イーガン氏は、屋上アンテナなどを使い放送を受信している、直接受信世帯の7~14%に相当する100~200万世帯が今秋までにCATVと契約すると見込んでいる。

いったん加入者になれば長期にわたり顧客として留まるケースが多いことから、米調査会社「サンフォード・バーンスティン」ではCATV業界に20億㌦(約2,100億円)相当の新たな収入をもたらすと予測している。同社では、全米で1億1,280万軒といわれるテレビ世帯のうち、直接受信世帯は約1,400万軒あると見ている。ちなみに、CATV全米最大手のコムキャストがサービスを展開するエリアには700~900万軒の直接受信者がいる模様で、サンフォード社では同社が少なくとも35万世帯の新規加入者を獲得する可能性があるとしている。

米国では直接受信世帯の多くが、ヒスパニック系(スペイン語を母国語とする住民)市民や黒人、さらに高齢者からなる低額所得者層で占められているが、これらの世帯の多くが来年2月17日移行も受信チューナーを使い、現在使用しているアナログ受像機でテレビ視聴を続けるとする見方もある。

ただ、サンフォード・バーンスティン社では、屋外アンテナではデジタル放送の受信が困難に陥る世帯が少なくないと見ており、いずれはCATVあるいは衛星放送が提供する再送信サービスに加入せざるを得ないのではないかとしている。さらに同社ではCATVが電話と映像配信サービスの一括サービスを安価で提供すれば、さらなる新規加入者が流れ込む可能性があると指摘している。